milo23の『何でも食うよ。』

2020.5.25から再開。独白を綴っていこうかなとか思ったので。

レスリング・ウィズ・シャドウズ(on フジテレビ)

びしょぬれヌレネズミで帰宅。風呂に入り落ち着いた所で新聞をみると今日はWWEの放送がフジテレビであるのを知る。CSに加入していない私はマンガ喫茶で毎週「RAW」だけを必死にチェックしていたものだが金がつづかないのと"ストーンコールド"スティーヴ・オースチンがしばらく欠場していたので見に行かなくなっていた。(ちなみに私にとってはスマックダウンはいまいちなのです。カートアングルは最高なのですが)
久しぶりに世界最高峰のスポーツエンターテイメントを堪能しようとチャンネルをあわせると今日はなぜだかカナダで製作されたドキュメンタリー「レスリング・ウィズ・シャドウズ」がやっていた。まさか"ヒットマン"ブレット・ハートを見るなんて!私、この映画、見たいと思っていたのに見て無かったんですよ。で、見てみた感想。ブレッドは確かにいい男でレスリングも巧くてなにより家族思いの魅力的なレスラーだけれども「で?」って感じがしちゃったんですよ。幻想をもっていただけにちょっとショックだった。「僕はビンスに、14年間尽した会社に裏切られたよ〜。悔しいよ〜」映像からはそんなみじめな印象を、ブレッドに対して抱いてしまった。なんか凄く格好悪いよ、ブレッド。しょっぱいよ、ブレッド。
公開当時は日本のファンにはそれなりにインパクトあったのかも知れないけど、私は「ビヨンド・ザ・マット」を見てしまっているし、WWEのTVショーが綿密な打ち合わせの元、緻密に計算されていることを知ってしまっているのでブレッドの恨み節しか俺のハートに届かなかったのではなかろうか。映像って恐いです。
もっと恐いなぁと思ったのが、この映画を製作するに当たり間違い無く制作者がWWE(つまりビンス・マクマホン)に許可をとった上で撮影を開始しているであろうということ。ひょっとしてビンスはけっこう早い段階でブレッドを切るつもりだったのではなかったのかということだ。それを知っていて映画を取らせ後の商売にしようとしたんじゃなかろうか。私の勝手な推測でしかないしホントの所は知る由も無いのだが、もしそうだとしてら、ビンスのケツの穴のデカさに驚嘆し敬愛する一方でブレッドの肝っ玉の小ささに落胆してしまうのである。
ブレッド離脱後もネタにしてしまうのも気狂い沙汰の愛憎劇である。ただ、ミゼットが扮装したブレットをショーン・マイケルス池乃めだかのように頭をおさえて腕グルグル振り回すシーンは退いた。指示したビンスも凄いがそれをやったマイケルズも凄い。ベルトをとって素早く控え室に戻るのも凄い。あそこであの空間にい続けたらとんでもないことになっていたと思う。映像から伝わってくる緊張感がビンビン伝わってきて夜中に異常に興奮した。なにからなにまで凄い試合であったという印象が残った。そんな試合をやったマイケルズはスゲェんですよ!
とにかく、露出度は断然ブレッドが多くビンスはほとんどなにも語っていないにも関わらず、本来ならおらがカナダの英雄の尊厳を守り、巨悪を断罪する告発映画のはずが、結果としてビンスの狂気じみたビジネス感覚&エンターテイメントプロデューサーとしての天才的というか悪魔的センスを浮き彫りにしている皮肉な作品である。はめられた試合の前のブレッドの言葉『絶対のベビーフェイス(善玉)にも1番のヒールになることも叶わなくなった今の俺はどうすればいいのだ!』というところが印象的でした。彼はホーガンにもフレアーにもなれなかったのはアメリカ人ではなく、真面目なカナダ人であったことも1つの遠因になったのかもしれない。
ちなみに2004年初頭、ビンスとブレッドは和解した。今後、どのような形でブレッドはソープオペラの世界に戻ってくるのか・・・。興味は尽きないのである。アメリカはスゲェですよ。(☆1)