milo23の『何でも食うよ。』

2020.5.25から再開。独白を綴っていこうかなとか思ったので。

富士山アネット 「A/F」in 王子小劇場

道中、雨が降って来た。湿度が高いと身体が重くなる。典型的な風邪の症状だがここまで来たら引き返せない。王子駅にて彼女さんを待つ。近所に出かけるおばはんのような格好で表れた。なんでやねん。
小屋の前でいろいろと顔見知りに会う。なんだか落ち着かない。それは同伴者が珍しくいるせいもあるし、たいていはついたらすぐに中へ入るからだがこの日は行列だったのでなんとなく立ち往生してしまった。落ち着かない。ラチが開かんので中へ入る。受付も知人である。なんだかこの世界、狭くなって来たなぁ。
奥に通された。楽屋を経由して客席へ向うといういささか珍しい舞台の組み方。この小屋はいつもそうなのだろうか?ちょっと緊張感ないよなー。
席につく。パイプ椅子。ケツが痛くなるのは予想通りだ。体調悪い上に湿気で蒸し暑く、おまけにこの椅子。とたんに具合が悪くなる。でもまあ、天井をみて吊りものが多くていろいろと仕掛けがあるのかと思うと期待感で少し落ち着くことができた。
彼女さんは横にいた記録用VTRを撮影するねぇちゃんにちょっかいを出していた。ほんとたちの悪いおっちゃんである。まだ23の女の子なんですが。
始まる。見る。とくに目新しさは感じられない。衣装が思っている程スマートではない。色使いにセンスを感じられない。げんなりした。チラシから受けるスマートさがまったくなく、非常に泥臭い感覚を覚えた。それに、まずこれは「芝居」ではない。一応、アンネ・フランクの話をモチーフにしているのだが、話全体の「核」がなんだかよくわからない。がちゃがちゃといろんなことをやっているのだが、そういった奇をてらったことをやるのであれば話の「芯」がしっかりある上でないと、もう、何がなんだかわけのわからんものになってしまう。映像を使うのも良いがそれによって役者は殺されてしまうし、それは結局「映像」でしかない。途中、大画面でファミコンをやるところがあり笑いを誘っていたがそれは「ファミコン」が面白いだけだ。飛び道具ばかりで本当になんにもない。
主人公の赤い服の女優さんはたしかにエネルギーを発散していたのだが、作家&演出家がそれを全く持って生かし切れていない。知り合いの女優さんが2名出ていたのだが、よくやってはいたのだが、全然、らしさがでてなくて非常にげんなりした。
とにかく、作者のひとりよがり感が相当、強かった。私が彼のやりたいことを理解できないだけなのかも知れないが、どうせ、奇をてらった「パフォーマンス」をやるのであればもっと無茶苦茶やれって!劇中にセット壊すとか、ペンキぶちまけるとか、料理つくるとか、服破くとか、いろいろあんじゃんか!とにかく、非常に中途半端であった。踊りもやるならビシッとしたもの見せて欲しい。あと、こういったことをやるならば作者は出演してはダメだ。出るなら独りで出るべきだ。
そんなこんなで非常に頭が痛く、具合が悪くなる一方であった。座席が奥側だったので身動きとれなかったこともそのことに輪をかけていた。出やすい席なら途中で帰っていただろう。こんなにダメな作品を見たのはひさしぶりである。というか、いつもならなんらかの収穫を得ようと前向きに見るのだけど、やっていることの稚拙さとそれに反して演技者の技術の高さのギャップに非常にイラ立ちをを覚えるのであった。出演していた人たちの半分以上はもっとしっかりとした芝居で見たい役者さんでした。くやしいよ。非常に。
多分、もう、見に行かないです。ここは。ぴあにも載っていたのに・・・。もっとおもしろいところいっぱいあるよー。
彼女さんも怒っていた。シロウトが分からないものはエンターテイメントとしては失格である。大衆娯楽というものをもっと考えて頂きたい。こんなことばかりじゃジャンルが閉鎖的になって衰退してしまう。とにかく、ひどかった。私にとっては。