milo23の『何でも食うよ。』

2020.5.25から再開。独白を綴っていこうかなとか思ったので。

「理由」宮部みゆき著

いやー。読み応えありました。直木賞の作品って読んだの初めてだと思うがどれもこれほど緻密で登場人物が魅力的ならば全部読んでみたいや。とにかく、登場人物の多さに驚いたが、全員、個性的であるせいで記憶からいなくなってしまう人物は皆無であった。登場人物一人一人の「生活観」がきちんと表現されていたからであろう。タイトルのつけ方もエロくていいです。物事を断片だけ捉えていては見えてこないものがいろいろな角度から振り返って見るにつけ、それぞれの立場などが見えてくるものだというあたりまえのことをはっきりと表現してくれたおもしろい作品でした。あとは文体が今までよりも大人びているように感じられたのはルポルタージュ形式だったからなのだろうか。ただ、やっぱり物語をきっちり「完結」させないのはこの人のスタイルなんだろうな。今回は気にならなかったが。